いままでいくつかの、大豆イソフラボンと更年期障害の因果関係に関する記事を書いてきました。
女性は40代以降、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減ることによる心身の不調リスクがありますが(更年期障害、骨粗しょう症など)、大豆イソフラボンの中にはエストロゲンと同じような働きをする成分があります。
上手く摂りいれることができれば足りなくなったエストロゲンの代わりに働き、不調の改善や予防をしてくれることに期待が持てます。
特に、大豆イソフラボンが体内に吸収されたあと産生されるエクオールの効果が、更年期障害対策としてたいへん注目されています。
でも・・・、このエクオール、残念なことに全員が産生できるわけではないのです。
今回はエクオールの産生についてのお話です。
更年期障害にお悩みの方、大豆イソフラボンのサプリメントを飲んでいるけど効果を感じられないという方には、特に読んでいただきたいと思います。
大豆イソフラボンが更年期障害に効く理由について、詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
更年期と更年期障害についてを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓
目次
エクオールはどうやって作られるの?
上の画像のように、大豆イソフラボンには糖とくっついた状態のグリコシド型イソフラボン、単独のアグリコン型イソフラボンの2種類があります。
グリコシド型のままだと大きすぎて吸収されないので一度糖と切り離され単独になり、晴れてアグリコン型となって吸収されることになります。
アグリコン型はダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの3つの成分から構成されており、胚芽由来の大豆イソフラボンの場合は、ダイゼインが約70%を占めます。
このダイゼインが、大腸の中にある腸内細菌のうちのひとつ、「エクオール産生菌」によって、スーパーイソフラボンと呼ばれる「エクオール」になるのです。
エクオールの効果
上にも書いた通り、エクオールは女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをしてくれるので、40代以降のエストロゲン減少による不調の改善が期待できます。
- 更年期障害の改善
- 抗酸化作用
- 骨粗鬆症の予防と改善
- 皮膚老化の予防と改善
- 新陳代謝の改善
- メタボ予防
更年期障害も含む女性の視点で見る場合、大豆イソフラボンとエクオールの効果はほぼ同じ内容になるので(効果の大きさは違う)、効果についての詳細はこちらの記事をご覧ください↓
誰でもエクオールを作れるわけではない
冒頭で書きましたが、女性にとても嬉しいエクオール。
大豆食品を食べて大豆イソフラボンを摂り、どんどんエクオールになってくれるといいのですが、体質などにより、体内にエクオール産生菌を持っていない人もいます。
エクオールはエクオール産生菌が無いと作れません。
日本人では約1/2の人が作れますが、10代~20代の若い世代では、1/3程度と言われています。
欧米人も1/3程度しか作れませんので、エクオールを作りやすい体質というのは、大豆食品(大豆イソフラボン)を普段から摂っているかどうかによるのではないかという話もあります。
日本人の中で一番産生率の高い年代は、70代になります。
エクオール産生率が高い年代ランキング
順位 | 作れる人の率 | 年代 |
---|---|---|
1位 | 54% | 70代 |
2位 | 50% | 80代 |
3位 | 46% | 60代 |
3位 | 46% | 30代 |
5位 | 44% | 40代 |
6位 | 43% | 50代 |
7位 | 38% | 20代 |
8位 | 27% | 10代 |
エクオールを作れない人に大豆イソフラボンは不要?
「エクオールはどうやって作られるの?」の項目で書きましたが、大豆イソフラボンはダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの3つの成分で構成され、その中で元々一番エストロゲン様作用が強いのはゲニステインです。(ダイゼインがエクオールになる前の話です)
胚芽由来の大豆イソフラボンにはゲニステインが10%しか含まれていないので少なくはありますが、それでも一応エストロゲン様作用はあります。
また、大豆食品のほとんどは大豆をそのまま使用するので、「胚芽由来」ではなく「丸大豆由来」になります。
丸大豆由来の場合、ダイゼインが40%なのに対し、ゲニステインは50%含まれています。
大豆食品は大豆たんぱく質が33%を占め、良質のアミノ酸が含まれています。
他にも脂質、炭水化物、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸亜鉛、銅などがバランス良く含まれ、それなのにコレステロールは含んでいないという、たいへん優秀な食品です。
以上のことから、エクオールを作れない体質の人でも、大豆食品は積極的に食べていきたいところです。
ただ、エクオールを作れないのに大豆イソフラボンのサプリメントや健康食品を摂り続けるのはちょっともったいないかな・・・と思うのです。
後述しますが、エクオールを作れない体質の人が更年期障害対策でサプリメントを飲む場合は、大豆イソフラボンではなく、エクオールを直接摂取できる商品が良いと思います。
自分がエクオール体質なのかどうなのかを知りたい
自分がエクオールを作れるかどうか調べることを、「ソイチェック」「エクオール検査」などと言います。
チェックする方法は今のところ2種類で、以下の通りです。
- 病院で調べる
- ソイチェックキットを使う
現在エクオール検査のソイチェックをしてくれる病院はそんなに多いわけではないので、場所の問題からいって誰でも簡単にできるとは限りません。
そして、エクオール検査にかかる金額はだいたい5千円くらいです。
一方のソイチェックキットは、送料・税込で4千円~4500円くらい。
書類に必要事項を書き、採尿をして両方を返送し、1週間~10日くらいでエクオール検査結果が届くというものです。
遠い病院まで出向かなくても自宅にいながら検査できるので、便利です。
「更年期障害対策で大豆イソフラボンを摂ってるのに、全然効果を感じない!」という方は、一度検査をしてみてもいいかもしれません。
ただこのソイチェック、「エクオール産生菌を保有しているかしていないか」の検査ではなく、尿の中で産生菌がどのくらいの量、どのくらい活発に動いているかを調べる検査です。
ですから、体調や食事によっては、結果が変ってくることもあるのです。
例えば大豆食品を全く食べないまま検査すると、大豆イソフラボンが体内にいないまま検査することになるので、必要以上に悪い結果になることも考えられます。
検査時には「数日前から大豆食品を普通に摂取しておくこと」「胃腸が不調の時は検査を避けること」などを、注意して下さい。
エクオール体質ではないけれどエクオール摂取したい
エクオール産生菌を持っていない身体の場合は、どうしても大豆イソフラボン→エクオールというわけにはいきません。
ですから、最初からエクオールのまま体内に届く、エクオールサプリメントを摂取するという方法があります。
また、エストロゲンと似た作用がある成分はエクオールだけではありませんので、大豆イソフラボンやエクオール以外から摂るという方法もあります。
エストロゲン様作用をする他の成分・食材
- ローヤルゼリー(デセン酸)
- ザクロの種子
- 亜麻の種子
- 高麗人参
- プエラリア(マメ科クズ属の植物)
- レッドクローバー(ハーブ)
- ブラックコホシュ(ハーブ)
- レソルシル酸ラクトン類(えんどう豆・小麦・胡麻)
更年期と大豆イソフラボンに関するまとめリンク集
更年期、更年期障害、女性ホルモンのエストロゲン、大豆イソフラボン、エクオールについて、いくつか記事を書いてきました。
まとめてリンク集にしてみますので、詳しく知りたい方は併せてご覧ください。
「更年期」と「更年期障害」について↓
大豆イソフラボンが更年期に効くメカニズムについて↓
大豆イソフラボンの種類と効果について↓
大豆イソフラボンの摂取目安や過剰摂取の副作用について↓
コメント
こんばんは♫
50歳を前にして、女性ホルモンが急激に減っているのを実感します^^
更年期間近です。
とっても有益な情報を有難うございます。
応援ポチして帰ります。
別のコメ欄でも書きましたが、心身の不調の原因が分からずにいます^^;
ホットフラッシュなどの有名な症状は起きないのですが、「もしかしたらこれが更年期障害???」という感じの症状が、あることはあるんですよね~
でも「年取ればみんなそうだし」と思わなくもないし、一度診るだけ診てもらおうかな?と思っています。