今日は、化粧品に含まれる成分を気にされている方のためのお話です。
現在、「化粧品」には、全成分を表示することが義務付けられています。
読んでみても難しすぎて、何が何だか分からない人が多いと思いますが、もちろん私も全部は把握しきれません^^;
特に嫌われやすい成分は、商品の広告などに「パラベン、合成界面活性剤、合成香料、合成着色料、無添加」などと目立つように書かれ、それらの成分を含んでいないことが強調されていたりします。
その中に時々、「旧表示指定成分無添加」と書かれていることがあります。
この、「旧表示指定成分」とは一体何なのでしょうか。
旧表示指定成分とは
2001年3月までは、旧厚生省が定めた102種類の成分を使っている場合だけ、パッケージなどに成分表示をする義務がありました。
その102種類の成分を「表示指定成分」と言います。
102種類の細かい選考基準までは分かりませんが、過去に皮膚障害、発がん性、アレルギー誘因などの報告があったり、危険な”可能性”を認められた成分です。
少量ならほとんどの人に問題ないであろう成分も含まれています。
2001年4月からは、化粧品は全成分表示が義務付けられました。
ですから、102種類の表示指定成分は「旧表示指定成分」と呼ばれるようになり、その中のどれも含んでいない場合は、「旧表示指定成分無添加」と書かれることになるのです。
(どれも含んでなくても「旧表示指定成分無添加」と書かれていない商品もあります)
昔と今とでは成分名が違うこともある
2001年3月まで使われていた成分名と、2001年4月以降から使われている成分名は、違う場合があります。
どうしても避けたいこの成分、パッケージの成分表示に載ってないわ♪と喜んでいても、違う名称で紛れ込んでいる場合も・・・
旧表示指定成分は、そんなに危険?
現在化粧品に使われている成分は5000種類を超えると言われていますが、その中でたった102種類だけを抽出したとなると、よほど危険な成分なの?と思ってしまいます。
もちろん中には本当に危険な、少量でも症状が出てしまう成分もあります。
でも条件付きで、「大量なら危険」「子供には危険」などという成分も含まれていますし、当然メーカー側はそれを分かっているのですから、無謀な作り方はしないでしょう。
また、「毒性」や「刺激」によって危険だと認知されている成分と、「アレルギー性」によって危険だと認知されている成分があります。
毒性や刺激は全員に関わることですが、アレルギー性はそのアレルギーの人にとってだけ危険ということになり、全員に悪影響を及ぼすとは言えません。
旧表示指定成分を避けていれば安心?
先ほども書いたように、現在化粧品に使われている成分は5000種類以上あり、その中には刺激の強い成分も、アレルギー性のある成分もあります。
旧表示指定成分だけ避けていれば安心ということはありません。
特にアレルギーについては、人それぞれ体質が違いますからね。
旧表示指定成分も、使われていないのならそれにこしたことはないです。
でも、使われていないから安心、という結論にはなりません。
旧表示指定成分の中には効果の高い成分もある
一般的には、「化粧品は効果が薄い代わりに、副作用が少ない」。
「薬品は効果が高い代わりに、副作用の危険性がある」。
ということになります。
副作用の危険性によっては旧表示指定成分に認定されてしまった成分もありますが、それだけ美容効果が高かったという場合もあります。
旧表示指定成分の全種類一覧表
旧表示指定成分が気になった時のお役に立てればと思い、一覧表を作りました。
ソートや検索機能が付いていますので、活用していただけたらと思います。
- 「全成分表示名称1991年4月~」について、1991年4月以降の全表示義務後も、記載される名称が変らなかった成分は空欄です。
- 「懸念される症状」について、まだはっきりとエビデンスがない症状も含まれています。
例えば「発がん性」と書いてあっても、「その可能性は捨てきれない」程度のものもあります。 - 色素の表示について、「現在は『赤202』と表記される」と書きましたが、未だに「赤色202号」と表記されている商品もあります。
- ○○○の中には、何かしらの文字が入ります。数種類あって書ききれないため、○○○と書きました。
旧表示成分名称 ~1991年3月 | 全成分表示名称 1991年4月~ | 主な目的 | 懸念される症状 | 危険度 |
---|---|---|---|---|
息香酸及びその塩類 | 安息香酸及び安息香酸○○○ | 殺菌・防腐剤 | 皮膚、粘膜、目、鼻、喉への刺激 | 中 |
イクタモール | 収れん剤 | 高濃度だと皮膚への刺激 | 中 | |
イソプロピルメチルフェノール | シメン-5-オール | 殺菌・防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、収れん剤 | 発がん性、中毒死、細胞機能破壊 | 高 |
ウンデシレン酸及びその塩類 | ウンデシレン酸及びウンデシレン酸○○○ | 殺菌・防腐剤 | 白血球減少、発育停滞 | 低 |
ウンデシレン酸モノエタノールアミド | ウンデシレナミドMEA | 殺菌・防腐剤 | アレルギー性皮膚炎 | 低 |
エデト酸及びその塩類 | EDTA及びEDTA-○○○ | 金属イオン封鎖剤、変色防止、透明効果など | 皮膚、粘膜、目を刺激してアレルギーを誘引 | 中 |
塩化アルキルトリメチルアンモニウム | ベヘントリモニウムクロリド | 界面活性剤、毛髪処理剤 | 内臓の痙攣 | 中 |
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム | ジステアリルジモニウムクロリド | 界面活性剤、毛髪処理剤 | 低 | |
塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム | ステアラルコニウムクロリド | 界面活性剤 | 低 | |
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム | ステアルトリモニウムクロリド | 界面活性剤、毛髪処理剤 | 低 | |
塩化セチルトリメチルアンモニウム | セトリモニウムクロリド | 界面活性剤、殺菌・防腐剤 | 皮膚、粘膜、目を刺激して、粘膜を壊死させる | 中 |
塩化セチルピリジニウム | セチルピリジニウムクロリド | 界面活性剤、殺菌・防腐剤 | 皮膚、粘膜、目を刺激して、粘膜を壊死させる | 中 |
塩化ベンザルコニウム | ベンザルコニウムクロリド | 界面活性剤、殺菌・防腐剤 | 皮膚への刺激、目に入るとアレルギー性結膜炎 | 中 |
塩化ベンゼトニウム | ベンゼトニウムクロリド | 界面活性剤、殺菌・防腐剤 | 中 | |
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム | ラウリルトリモニウムクロリド | 界面活性剤、殺菌・防腐剤、帯電防止剤 | 悪寒、内臓の痙攣 | 中 |
塩化リゾチーム | 酵素類 | 発疹、食欲不振、胃部不快感、嘔吐、下痢、口内炎 | 低 | |
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン | アルキル(C12-14)ジアミノエチルグリシンHCI | 界面活性剤、殺菌・防腐剤 | 中 | |
塩酸クロルヘキシジン | クロルヘキシジン2HCI | 殺菌・防腐剤 | 中 | |
塩酸ジフェンヒドラミン | ジフェンヒドラミンHCI | 抗ヒスタミン剤・消炎剤 | 中 | |
オキシベンゾン | オキシベンゾン-3 | 紫外線吸収剤 | 環境ホルモンの疑い | 中 |
オルトフェニルフェノール | フェニルフェノール | 殺菌・防腐剤 | 環境ホルモンの疑い、発がん性 | 中 |
カテコール | 酸化防止剤 | ただれ | 中 | |
カンタリスチンキ | マメハンミョウエキス | 毛根刺激剤 | 皮膚、粘膜への刺激 | 中 |
グアイアズレン | 消炎剤 | アレルギー性皮膚炎 | 中 | |
グアイアズレンスルホン酸ナトリウム | グアイアズレンスルホン酸Na | 消炎剤 | アレルギー性皮膚炎 | 中 |
グルコン酸クロルヘキシジン | 殺菌・防腐剤 | 発疹、めまい | 中 | |
クレゾール | 殺菌・防腐剤 | 発疹、吹き出物 | 中 | |
クロラミンT | 殺菌・防腐剤 | アレルギー症状 | 中 | |
クロルキシレノール | 殺菌・防腐剤 | 腫れ、吹き出物、じんましん、発がん性、中毒死 | 中 | |
クロルクレゾール | 殺菌・防腐剤 | 吹き出物 | 中 | |
クロルフェネシン | 殺菌・防腐剤 | アレルギー性皮膚炎 | 中 | |
クロロブタノール | 殺菌・防腐剤 | 皮膚炎 | 中 | |
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン | メチルクロロイソチアゾリノン | 殺菌・防腐剤 | 中 | |
酢酸dl-α-トコフェロール | 酢酸トコフェロール | 酸化防止剤 | アレルギー性皮膚炎 | 低 |
酢酸ポリオキシエチレンラノリンアルコール | 酢酸ラネス-9、酢酸ラネス-10 | 界面活性剤 | アレルギー性あり | 低 |
酢酸ラノリン | エモリエント剤 | 皮膚炎 | 中 | |
酢酸ラノリンアルコール | 酢酸ラノリル | エモリエント剤 | 皮膚炎 | 中 |
サリチル酸及びその塩類 | サリチル酸○○○ | 殺菌・防腐剤 | 発疹、染色体異常の誘発 | 中 |
サリチル酸フェニル | 紫外線吸収剤 | 発疹 | 中 | |
ジイソプロパノールアミン | DIPA | 中和剤 | 皮膚障害 | 高 |
ジエタノールアミン | DEA | 中和剤、乳化剤 | 目、皮膚、粘膜への刺激、肝臓障害、腎臓障害、発がん性 | 高 |
シノキサート | 紫外線吸収剤 | アレルギー性発疹 | 中 | |
ジブチルヒドロキシトルエン | BHT | 酸化防止剤 | 皮膚炎、過敏症、血小板の機能障害、脱毛、発がん性 | 高 |
1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン | DMDMヒダントイン | 殺菌・防腐剤 | 低 | |
臭化アルキルイソキノリニウム | ラウリルイソキノリニウムブロミド | 殺菌・防腐剤 | 低 | |
臭化セチルトリメチルアンモニウム | セトリモニウムブロミド | 界面活性剤 | 皮膚、粘膜、目、鼻、喉への刺激、染色体異常 | 低 |
臭化ドミフェン | 殺菌・防腐剤 | 低 | ||
ショウキョウチンキ | ショウキョウエキス | 毛根刺激剤 | 低 | |
ステアリルアルコール | エモリエント剤、界面活性剤 | 低 | ||
セタノール | エモリエント剤、界面活性剤 | アレルギー誘発 | 低 | |
セチル硫酸ナトリウム | 界面活性剤 | ネズミ実験で、受精卵が死亡するという報告あり | 高 | |
セトステアリルアルコール | エモリエント剤、界面活性剤 | 低 | ||
セラック | 皮膜剤 | 皮膚、粘膜、目、鼻、喉への刺激、染色体異常の報告 | 低 | |
ソルビン酸及びその塩類 | 殺菌・防腐剤 | 中 | ||
チモール | 殺菌・防腐剤 | アレルギーの誘発 | 中 | |
直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム | ドデシルベンゼンスルホン酸○○○ | 界面活性剤、洗浄剤 | 主婦湿疹 | 高 |
チラム | 殺菌・防腐剤 | 皮膚、粘膜、胃を刺激、アレルギー性湿疹 | 中 | |
デヒドロ酢酸及びその塩類 | デヒドロ酢酸○○○ | 殺菌・防腐剤 | 中 | |
天然ゴムラテックス | ゴムラテックス | 被膜剤 | 中 | |
トウガラシチンキ | トウガラシエキス | 毛根刺激剤 | 刺激が強い | 低 |
dl-α-トコフェロール | トコフェロール | 酸化防止剤 | 低 | |
トラガント | 被膜剤、増粘剤 | 皮膚炎 | 中 | |
トリイソプロパノールアミン | TIPA | 中和剤 | 皮膚の乾燥、ひび割れ、肌荒れ | 高 |
トリエタノールアミン | TEA | 中和剤、保湿剤 | 肝臓や腎臓の損傷、発がん性の疑い | 高 |
トリクロサン | 殺菌・防腐剤、消毒剤 | 環境ホルモン物質の疑い、動物実験では胎児の奇形の報告 | 高 | |
トリクロロカルバニリド | トリクロカルバン | 殺菌・防腐剤 | アレルギー反応、メトヘモグロビン血症 | 中 |
ニコチン酸ベンジル | 毛根刺激剤 | 発疹、食欲不振、肝障害 | 低 | |
ノニル酸バニリルアミド | ヒドロキシメトキシベンジルノナミド | 毛根刺激剤 | 動物実験で、内臓障害のデータあり | 低 |
パラアミノ安息香酸エステル | OPABA | 紫外線吸収剤 | 高 | |
パラオキシ安息香酸エステル | パラベン類 | 殺菌・防腐剤 | 環境ホルモン物質の疑いあり | 高 |
パラクロルフェノール | クロロフェノール | 殺菌・防腐剤 | 腫れ、吹き出物、じんましん、中毒死、発がん性 | 高 |
パラフェノールスルホン酸亜鉛 | フェノールスルホン酸亜鉛 | 収れん剤 | 発疹、中毒死、発がん性、胃腸障害 | 中 |
ハロカルバン | クロフルカルバン | 殺菌・防腐剤 | 低 | |
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール | ドロメトリゾール | 紫外線吸収剤 | アレルギー、黒皮症 | 中 |
ピロガロール | 酸化防止剤、染色剤 | 発疹、色素沈着、中毒死 | 高 | |
フェノール | 殺菌・防腐剤 | 発疹、中毒死、発がん性 | 高 | |
ブチルヒドロキシアニソール | BHA | 酸化防止剤、殺菌・防腐剤 | 発がん性、環境ホルモン物質の疑い | 高 |
プロピレングリコール | PG | 多価アルコール類、 保湿剤 | 接触性皮膚炎 | 中 |
ヘキサクロロフェン | 殺菌・防腐剤 | 皮膚過敏症、色素沈着、小児には毒性、動物実験で脳細胞障害を確認 | 中 | |
ベンジルアルコール | 殺菌・防腐剤 | 皮膚、粘膜に対する刺激と腐食性、強いアレルギー | 低 | |
没食子酸プロピル | 酸化防止剤 | 皮膚刺激性、染色体異常 | 中 | |
ポリエチレングリコール(平均分子量600以下) | PEG-○○○ | 多価アルコール類、 保湿剤、界面活性剤、乳化剤 | 発がん性 | 高 |
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類 | ラウレス硫酸○○○ | 界面活性剤 | アレルギー、皮膚への刺激、動物実験では受精卵の死亡率が高い | 高 |
ポリオキシエチレンラノリン | PEG-○ラノリン | 界面活性剤、乳化剤 | 皮膚への刺激、肌荒れ | 中 |
ポリオキシエチレンラノリンアルコール | ラネス-○○○ | 界面活性剤、乳化剤 | アレルギー | 中 |
ホルモン | エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオールなど | ホルモン剤 | 発がん性、呼吸困難、過敏症状、不正出血 | 高 |
ミリスチン酸イソプロピル | 油剤 | 低 | ||
2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン | メチルクロロイソチアゾリノン | 殺菌・防腐剤 | 低 | |
N,N''-メチレンビス[N'-[3-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル | イミダゾリジニルウレア | 殺菌・防腐剤 | 低 | |
ラウリル硫酸塩類 | ラウリル硫酸○○○ | 界面活性剤 | 肌荒れ、発がん性 | 高 |
ラウロイルサルコシンナトリウム | ラウロイルサルコシンNa | 界面活性剤、殺菌・防腐剤 | アレルギー | 低 |
ラノリン | 乳化剤、保湿剤 | アレルギー | 中 | |
液状ラノリン | 乳化剤、保湿剤 | アレルギー | 中 | |
還元ラノリン | 水添ラノリン | エモリエント剤 | 皮膚炎 | 中 |
硬質ラノリン | ラノリンロウ | エモリエント剤 | 皮膚炎 | 中 |
ラノリンアルコール | エモリエント剤 | 肌への刺激 | 中 | |
水素添加ラノリンアルコール | 水添ラノリンアルコール | エモリエント剤 | 皮膚炎 | 中 |
ラノリン脂肪酸イソプロピル | 乳化剤 | アレルギー | 中 | |
ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール | ラノリン脂肪酸PEG-○ | 乳化剤、界面活性剤 | アレルギー | 中 |
レゾルシン | 殺菌・防腐剤 | アレルギー、腎臓障害、発がん性 | 高 | |
ロジン | 増粘剤 | 皮膚、粘膜への刺激、アレルギー | 中 | |
タール系色素 (○色△号と表記) 例:赤色202号 | タール系色素 (○△と表記) 例:赤202 | 合成着色料 | 発がん性 |
まとめ
・旧表示指定成分以外にも、気を付けなくてはいけない成分はたくさんある
・旧表示指定成分の中には「少し危険かもしれない?」程度の成分も含まれている
・美容効果の高い成分が旧表示指定成分に認定されていたりもする
「旧表示指定成分」なんて仰々しい言葉を聞くと、それだけがものすごく危険な感じがして、逆にそれ以外の成分なら平気なの?という感覚になるかもしれません。
でも今となっては、正直、あまり頼りにできる括りではないようです^^;
たいへんイメージの良い「無添加化粧品」「オーガニックコスメ」なども、旧表示指定成分を使っていないというだけで、実はそれ以外の刺激の強い成分を含んでいる場合もあります。
敏感肌やアレルギー体質の方は特に、魅かれるような言葉には惑わされず、成分を見て商品選びをしていただきたいと思います。