皮膚で角質が作られ、はがれるまでのメカニズムを図解説明

肌がガサガサしたりゴワついて、「あれ?角質が溜まってる?」なんて思うことがありますよね。
今日は硬い角質が出来上がってしまうまでの、メカニズムのお話になります。

難しいメカニズムではないのですが言葉だけだとややこしいので、図解説明していきますね。

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角質が生まれてから剥がれていくまで

ご覧の通り、表皮にも角質層、顆粒層などの層があるのですが、一番奥の「基底層」では常に角化細胞(ケラチノサイト)が産生されていて、これが角質の元です。
それが分化(細胞が分裂・増殖・異質化していくこと)しながらどんどん皮膚の表面に押し出されていき、角質層に辿り着く頃には角質細胞という死んだ細胞になります。

角質細胞が垢として剥がれ落ちてくれないと、肌の表面に溜まってしまい、ゴワゴワなど肌トラブルの元になります。

角質細胞は、角化細胞(ケラチノサイト)の最終分化形態です。

「角質細胞」と「角化細胞」、ネーミングが似ていて間違えそうですよね・・・

「最近、角質が硬くなってかかとがボロボロ~><」なんていう時に使う「角質」という言葉は一般的でしょうから(そして「角化」は一般的ではない)、単純に自分にも見えやすく感じやすい場所(肌の表面)にあるのが「角質(細胞)」だと思えば紛らわしくならないかも?

基底層で生まれた時が「角化細胞」、表面に溜まるとゴワゴワするのが「角質細胞」。

ちなみに「角質層」は「角層」、「角質細胞」は「角層細胞」などと呼ばれることもありますが、同じ意味です。
紛らわしいな!

角質をはがれやすくしてくれるたんぱく質分解酵素

角質層までたどり着いた角質細胞はあともう少しで垢となって剥がれてくれるのですが、「デスモソーム」というたんぱく質により角質細胞同士がお互いにくっついているので、スムーズに剥がれてくれません。
つまりデスモソームが角質細胞同士の接着剤の役目をしているわけです。

接着したままだと剥がれ落ちにくいので、たんぱく質分解酵素(剥離酵素)が接着剤を取り除いてくれます。

剥離してくれるたんぱく質分解酵素は角質層に存在し、トリプシン様酵素キモトリプシン様酵素という2種類であることが分かっています。

図では分かりやすいようにパックマンが食べていますが、実際には「分解」しています。
パックマンが頑張ってくれると角質は溜まりにくく、お肌が健康的でいられます。

たんぱく質分解酵素が働いてくれないのはどんな時?

加齢

加齢により、トリプシン様酵素(パックマン)の働きが段々と鈍くなってしまいます。
その結果、角質が肌の表面に溜まり、肌トラブルが起きやすくなります。

乾燥

角質層の中の水分が足りないと、たんぱく質分解酵素の働きが阻害されてしまいます。
また、たんぱく質分解酵素自体の働きも鈍くなるため、デスモソームが分解されにくくなってしまうのです。
これは保湿をしっかりすることにより、改善されます。

加齢や元々の肌質・体質などはどうしようもありませんが、正しい生活習慣とスキンケア(特に保湿)によって、同年代でも差が出てきます。

たんぱく質分解酵素の洗顔料など

たんぱく質分解酵素を洗顔料やピーリング剤に使っている商品もあります。

余分な角質を落としてくれるのでツルツル効果は絶大なのですが、あまり使いすぎると角質が必要以上に削り取られ、慌てた皮膚はそれを補うため、基底層において今まで以上のスピードで必死に角化細胞を作ろうとします。
ということは、今まで以上のスピードで角質が作られてしまうことになるのです。

たんぱく質分解酵素の入っている洗顔料の使用は、週1~2回くらいが理想的です。
(中には毎日使える酵素洗顔剤もあります)

酵素洗顔についてはもっとたくさん書きたいことがありますが、今回は「角質が作られるメカニズム」と「角質を排出しやすくするたんぱく質分解酵素」のお話ですので、また別の機会に詳しく書くことにしようと思います。

まとめ

今日の記事のポイント・角質の元は、基底層で「角化細胞」として常に産生されている
・角化細胞は分化(細胞が分裂・増殖・異質化していくこと)しながら皮膚表面に押し出されてくる
・角化細胞の最終形態が「角質」
・角質を上手く垢にして剥がれさせるためには「たんぱく質分解酵素」が有効
・角質層に存在するたんぱく質分解酵素は、肌が乾燥していると上手く機能してくれない
・たんぱく質分解酵素の洗顔料は、週に1~2回程度の使用が理想的